第12話  アジアへ帰ろう

 コペンで何日か仕事を探し回ったが見つからなかった、大して真剣でもなかったのもあるだろう、仕事をしている人にも何人かあったが難しいような事を言われた、寒いという事もあり、これなら中東、アジアの方が面白かった、と、今までの事を懐かしく思った、しかし日本を出てここまで私は何をしてきたんだろうか?、観光らしきものはしていない、ただ先へ先へと進んで来ただけである、ここへだって何となく来ただけで来なきゃならない理由も目的もあった訳ではない、馬鹿みたいに冬の北欧へ半袖シャツで来る事はなかろう。

 私には何もかも整っているような所は似合わないらしい、あのごみごみとした街並み、市場の喧騒、人が、自転車が、牛車が行く、それを押し分ける様に自動車が通る、そういう中に身を置いている方が、暖炉の前のソファーに腰を下ろしているよりずっと落ち着けるような気がする、中東やアジアの道端に腰を下ろし、通りを行き交う人達を眺めている方が飽きない、人は多少煩いがここらの素っ気無い人達よりいい、帰ろう、アジアへ帰ろう。

 帰ろうと決めたものの、一気にアジアへ飛ぶお金はない、また陸路インドまで行かねばならないのかと思うとうんざりした、しかしそれしか方法はなさそうなので、帰りに寄りそうな国を大使館で追記してもらいイスタンブール目指してコペンを出た。


 ヨーロッパには1ヶ月程しかいなかった、それも東欧、北欧だった、スペインとか地中海方面に行ったら、また違ったかもしれないが、なぜか北を目指してしまった、おかげでヨーロッパは行っただけ、としか言えない、コペンの人魚姫のすぐそばまで行きながらそれも見ていない、なにしろ寒くて余計な所は極力避けたからだ、以後寒い所は好きではない、なるたけ避けるようにしている、その後、ヨーロッパには足を踏み入れてはいない。

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